飛行機に気楽に乗れなかった規制緩和をする前の航空運賃について

昭和50年代から始まった産業界の規制緩和がついに飛行機業界にも及び、それまで運輸大臣の認可が必要だった飛行機運賃について航空法が改正されて2000年に完全自由化が実施されました。
その結果、大手3社の寡占状態だった普通運賃に割安なものが出始めました。これまで飛行機は列車やバスと比べて割高感が強かったわけです。
その後、航空業界には運賃競争が始まり安値券が数多く出回っていたところへ海外で運行開始した格安会社が国内へ進出してきました。
格安航空の進出で各社のコスト削減策
こうして、それまでの普通運賃の割引という考え方から顧客サービスを必要最小限とした別体系の制度を持つ割安な券が国内に登場しました。
現在、この券が本格的に国内に持ち込まれてまだ4年ほどですが、この間に格安航空会社の設立が増え、営業運行区間や地域も増えました。
機内サービスの廃止や機内持ち込み荷物の制約強化、あるいは搭乗率を上げるため使用飛行機の有効活用等のコスト削減策を実施して激しい価格競争の中で営業しています。
格安航空券より安いケースの出回る航空券
今では国内便だけでなく、東南アジア各国との間の国際線にも多数就航させている他に、ツアー便にも登場しています。こうした激しい価格競争は従来から続いてきた大手航空会社の運賃体系にも大いに影響を与えるようになっています。
ほとんど普通運賃一本だった体系に季節別、曜日別、あるいは時間帯別等に細かく変えることで運賃全体では低価格化が進行していると言えます。
中には大手航空会社の運賃の方に格安航空会社の価格より安いケースもあるほどになりました。
新幹線との時間×運賃で議論する国民
飛行機を利用する旅行が修学旅行にもしばしば利用されたり、家族旅行で搭乗する等、すっかり大衆化したと言えます。企業の出張でも飛行機を使えば日帰りできて時間と経費を節減できる効果は想像以上です。
新幹線網が全国に広がるにつれて国民の間でも行先によっては時間×運賃で比較し、飛行機で行くか、新幹線で行くか、しばしば議論するようになり、空と陸でサービス競争が激化する時代となっています。
これこそ、規制緩和の目的がフルに発揮された姿だということです。
さいごに
しかしながら、コスト競争による乗客の奪い合いの結果、航空会社の経費節減が機体のメンテナンスや安全運行体制に影響を与えることを避けるべきであることは言うまでもありません。
飛行機は離陸し、着陸するまでの間に何らかの機体トラブルを起こせば多くの乗客の生命に関わる事故に直結することが分かり切っていることです。
従って、今後とも過度な価格競争を謹んで安全な運行を続ける経営判断が求められるわけですが、国民が安心して空の旅を楽しめることこそ願いです。